Rolandが2025年2月15日に発売したV‑STAGEシリーズは、ステージ用オールインワン・キーボードの概念を塗り替えるフラッグシップモデルです。88鍵のV‑STAGE 88と76鍵のV‑STAGE 76の2機種から構成され、4種類の独立したサウンド・エンジンと直感的なユーザーインターフェースを搭載し、ステージ上で必要とされる多彩な音色と操作性を提供します。
https://www.roland.com/jp/products/v-stage_88/
モデルラインアップと主なスペック
V‑STAGEは鍵盤の仕様が異なる2モデルが用意されています。V‑STAGE 88はハンマーアクション鍵盤でピアノ奏者向け、V‑STAGE 76はセミウェイトのウォーターフォール鍵盤でオルガンやシンセ弾きに適しています。価格はオープンですが、イケベ楽器の発売時点の記事では76鍵モデルが税込44万円、88鍵モデルが税込49万5千円と紹介されています。サイズ・重量などの概要を下表にまとめました。
| モデル | 鍵盤 | サイズ (幅×奥行×高さ) | 重量 | 参考価格 (税込) |
|---|---|---|---|---|
| V‑STAGE 88 | 88鍵ウェイテッド・ハンマーアクション鍵盤。エスケープメント付きで象牙調のアイボリー・フィールを採用。 | 約1,331 × 353 × 143 mm | 約21.8 kg | 約49万5,000円 |
| V‑STAGE 76 | 76鍵セミウェイト仕様のウォーターフォール鍵盤。アフタータッチ対応でグリッサンドやトリルに強い。 | 約1,181 × 342 × 109 mm | 約15.2 kg | 約44万円 |
4種類の独立したサウンド・エンジン
V‑STAGE最大の特徴は、ピアノ、エレクトリック・ピアノ、オルガン、シンセサイザーの4つの専用サウンド・エンジンを備える点です。それぞれのエンジンには専用のコントローラーが用意され、直感的な操作で音作りが行えます。
アコースティック・ピアノ・エンジン
- V‑Pianoテクノロジーを採用し、2台のコンサートグランド、アップライト、フェルトピアノをモデリング。
- ピアノの音色は鍵盤タッチや弦の響きまでリアルに再現し、Piano Designerで細かくカスタマイズ可能。
- フェルトピアノはV‑STAGE専用に新たにモデリングされた音色で、柔らかく温かい響きをステージで再現します。
エレクトリック・ピアノ・エンジン
- 最新のSuperNATURAL技術に基づく新開発エンジンで、Tine、Reed、Digital、Clavinetなど往年のEPサウンドを搭載。
- SOUND LIFTノブにより、柔らかいタッチでも音量を保ちながら存在感を高めることができる。
- Tremoloやコーラス等の空間系エフェクト、アンプシミュレーターを備え、シティ・ポップやファンク等の演奏にマッチしたサウンドメイクが可能。
オルガン・エンジン
- Roland伝統のVirtual Tone Wheel音源をベースに、Upper/Lower/Pedalの3パートを演奏可能にしたコンソール・オルガン。
- 60年代トランジスタコンボやパイプオルガンなど複数のモデルを収録し、ハーモニックバーやパーカッションコントロールでリアルなオルガンサウンドを作成できる。
- 新開発のロータリー・スピーカー・エフェクトでは、回転速度やマイクポジションを即座に調整可能。
ZEN‑Coreシンセサイザー・エンジン
- 約400種類のZEN‑Coreトーンを搭載し、ソロでもレイヤーでも即戦力となるパッドやストリングス、シンセリードを提供。
- 2つのサウンドを同時に使用でき、アタック・リリースやフィルターなどのシェイピングを直感的に操作可能。
- Roland CloudのSDZ Sound PackやModel Expansionに対応し、JUPITER‑8やJUNO‑106など往年のアナログ・シンセ音色を無償で追加可能。
インターフェースとライブ機能
シーンとシーンチェイン
V‑STAGEは、各サウンド・エンジンの設定やレイヤー/スプリットの組み合わせ、エフェクトなどをシーンとして保存でき、最大512個まで登録できます。セットリストに合わせてシーンを並べたシーンチェインは最大128個に対応し、曲ごとの音色切り替えをスムーズに行えます。シーン切替時もリバーブやディレイが自然に残るシーンリメイン機能により、演奏中に音が途切れることがありません。さらに、即興演奏に便利な8個のEXシーンは自動で状態を保存し、演奏中の変更を記憶します。
直感的なパネルレイアウト
4つのサウンド・エンジンはセクションごとに分かれ、それぞれに音量ノブやスイッチ、スプリットボタンが配置されています。中央の4.3インチカラーLCDは視認性が高く、詳細な編集やメニュー操作を容易にします。ノブやフェーダーにはLEDインジケータが付いており、暗いステージでも現在の値を確認できます。
エフェクトとマスターセクション
各サウンド・エンジンには専用のディレイとリバーブが用意され、マスターセクションにはコンプレッサーとEQが搭載されています。Rolandの名機から受け継いだ93種類のマルチエフェクトや9種類のコーラス/モジュレーション、7種類のリバーブが利用可能で、音作りの幅が広がります。
高い接続性
V‑STAGEはステージや配信を想定した豊富なI/Oを備えています。バランスのXLRメインアウトと1/4インチTRS出力を両方装備し、2系統のサブアウトも用意。XLRマイク入力には専用ボリュームとエフェクトがあり、ボコーダー機能も搭載しています。USB‑C端子はクラスコンプライアントのオーディオ/MIDIインターフェースとして機能し、コンピュータやiPhone/iPadとの接続が可能。さらにUSBメモリーポートでデータのバックアップ・復元が行え、Roland A‑49やA‑PROシリーズなどのMIDIコントローラー用USB端子も2系統備えています。
キーボードと筐体デザイン
V‑STAGEシリーズは、堅牢な金属製シャーシと無垢材のサイドパネルを採用し、耐久性と携帯性を両立しています。設計段階ではデザインモックアップを重ね、筐体サイズに必要な機能を詰め込むことに苦労したと開発者は語っています。
- V‑STAGE 76のウォーターフォール鍵盤は新設計で、オルガン特有のグリッサンドや連打にも応える軽快さと、ピアノ演奏のダイナミクスを両立。鍵盤カーブはオルガンとピアノ双方の演奏性に合わせてチューニングされ、オルガン奏法のアタック感を保ちながらピアノの繊細な表現も可能になっています。
- V‑STAGE 88は、象牙調仕上げのハンマーアクション鍵盤を採用し、ピアノのエスケープメントを再現。浅い打鍵でもオルガン的な反応を得られる特別仕様で、グリッサンド奏法や連打も演奏しやすく、幅1,331 mm・重量21.8 kgというコンパクト設計が特徴です。
Roland Cloudと拡張性
V‑STAGEはRoland Cloudに対応し、SDZ Sound PackやModel Expansionを導入することで新しい音色やシーンパックを追加できます。JUPITER‑8、JUNO‑106、JX‑8P、SH‑101などの往年のアナログ・シンセを再現したModel Expansionは登録ユーザーが無償でダウンロードできます。発売に合わせて追加シーンパックも提供され、今後もコンテンツが拡充される予定です。
まとめ — プロフェッショナルのための「瞬間」を逃さない楽器
V‑STAGEシリーズは、独立した4つのサウンド・エンジンと直感的なインターフェース、豊富な入出力を備え、プロのキーボーディストが求めるライブパフォーマンスの要求に応えるステージキーボードです。アコースティックからエレクトリック、オルガン、シンセまで幅広い音色を高いクオリティで鳴らすことができ、演奏中にスムーズな音色切替を実現するシーン機能やEXシーンは、複雑なセットリストや即興演奏に強い味方となります。鍵盤のバリエーションや筐体デザインのこだわりもあり、ピアノ主体の演奏者もオルガンやシンセを多用する演奏者も満足できる仕上がりです。


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